Eugene O'Neillの舞台表現へのあがき : 仮面からthought asideへの変化(岸英司名誉教授追悼記念号)
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概要
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Eugene O'Neill (1888-1953)が演劇表現の可能性を求めて様々な演劇的実験を試みたことは,よく知られている。それらの実験演劇作品群の中で,O'Neillは,1926年初演のThe Great God Brownにおいて,仮面を使用し,1928年のStrange Interludeにおいて,登場人物の内なる声を舞台上に表すために,thought asideを使用した。これらの二つの演劇手法の間には,一見したところ,演劇手法上の密接な関連性は,希薄に思われるかもしれない。しかし,O'Neillの創作過程を記録したWork Diaryやアイデア・ノート内に記されている作品の原案を見ると,Interludeのアイデアや構想を作り上げていった時期に,Brownの創作時期や上演期間と重なり合う時期が見られる。そこで,小稿において,O'NeillのWork Diaryや,Yale大学Beinecke Rarebook and Manuscript Library所蔵のアイデア・ノートや初期の手書き原稿を参照し,その上で,BrownとInterludeのテクストを分析し,両作品おいて使用された演劇手法に関して考察を加えていく。小稿の分析と考察を通して,仮面からthought asideへの変化は,不規則・無節操に試みられた変化ではなく,登場人物の内的ドラマを舞台上に表出しようとした,O'Neillの演劇表現に対する挑戦の中で考案され,選択された,手法上の彼独自の変化であることを明らかにしていく。
著者
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