インド・ベンガル地方におけるキリスト教ミッションとメディア : 19世紀のシラムプル(Serampore)・ミッションを中心に
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概要
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インド・ベンガル地方における近代的印刷技術はキリスト教ミッションによって始められた。19世紀前半にその重要な役割を担っていたのがイギリス・バプティスト系のシラムプル・ミッションである。このミッションは自らのプレスをもち、聖書の現地語の翻訳本、ベンガル語や英語の新聞・雑誌・教科書を多数刊行した。こうした新しい活字メディアを通じて伝わった西欧の知識や情報は、近代教育を受け植民地政府の行政官となった人々などを中心に形成された新知識人層に大きな影響を与えた。そして主にこれらの人々によって進歩的宗教・社会改革運動が展開されていったのである。一方、活字メディアはベンガルの保守派にも影響を与え、19世紀以降ヒンドゥー復古主義者たちも自らの活動のために出版物をうまく活用しており、進歩主義者との間にベンガル社会の改革をめぐる論争を繰り広げた。こうして活字メディアは19世紀のベンガル社会に新たな形での論争文化をもたらしたのである。
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