地域メディアにおける『やさしい日本語』 : ラジオ放送を中心に
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概要
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本稿は、日本語の表現法として言語学者など専門家により提案されている『やさしい日本語』の、地域メディアにおける活用の可能性を考察するものである。『やさしい日本語』は、1,500語程度の制限された語彙と簡略された文法構造を持つ。自然災害時における在住外国人の情報入手不足にかかる悲劇を防ぐべく、自治体広報紙やコミュニティ放送などの地域メディアが、『やさしい日本語』による情報提供に関心を持ちはじめている。一方で、ラジオ放送の現場では『やさしい日本語』の放送での活用に困難を感じる向きもある。その理由は、口語としての『やさしい日本語』の特徴や、放送局側の番組編成方針との兼ね合いの問題などによる。また本稿は、『やさしい日本語』の文法・語彙上の特徴についても、疑問点を提示する。本稿は、在住外国人に対する『わかりやすい災害情報』を目指す『やさしい日本語』の精神は尊重する。一方で、『やさしい日本語』の制作者には、表現ルールの改善に向けた入念な基礎調査と、地域メディアの現場関係者に対する実践的スキル普及活動の必要性を提案する。