アメリカ合衆国におけるプレジャーボート活動の地域的特徴
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概要
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本研究は沿岸域利用に関する日本とアメリカ合衆国の比較研究の端緒として、アメリカ合衆国本土におけるプレジャーボートの分布から、その活動の地域差を解明することを目的とした。アメリカ合衆国のプレジャーボートは2003年には1,300万隻に達し、とくに人口の集中する東海岸とメキシコ湾岸、西海岸および五大湖沿岸の4地域に多く分布していた。東海岸とメキシコ湾岸においては、沿岸州を利用したイントラコースタル水路沿いにマリーナなどが開発され、避寒地のフロリダ半島では桟橋付き別荘とともにプレジャーボートが定着していた。一方、五大湖沿岸では、自宅の庭先にトレーラーボートが保管され、無数にある氷河湖で用いられており、全米で最も普及率が高かった。西海岸においては、普及率は低いものの、内水面と海面の双方を用いるトレーラーボートや、フロリダ半島でみられた桟橋付き宅地開発など多様な形態がみられた。以上の結果から、今後の沿岸域利用に関する研究の課題として以下の諸点があげられた。(1)開発・利用と自然環境との調和、(2)集客圏や行動圏および行動形態という行動論的視点、(3)産業構造転換と沿岸域利用との関連性、(4)利用者の社会階層やエスニック集団に関する分析の必要性である。
- 長崎国際大学の論文