現代日本における犯罪被害者の国際化と人間の安全保障 : グローバル化、国際人口移動と地域化の観点から
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概要
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当論文は、次の3点を論ずることを通じて、現代日本における社会と国家の構成員の特性に変化が生じていることを示す。まず、国家の構成要素(領域、国民、主権)のうち、領域が有する意義がグローバル化の過程の中でどう変化しているか、そしてそのことが他の二つの構成要素、すなわち「国民」と「主権」のあり方にどのような影響を及ぼすかを理論的に考察する。次いで、領域と国民の特性に関する変化、すなわち超領域化の進行とde facto構成員の増加が、主権行使のしかたの変更を迫った例として、日本が1990年代から21世紀初頭にかけて行った「犯罪取締りの国際化」を取り上げる。さらに、「犯罪取締りの国際化」よりも遅れていた「犯罪被害者の国際化」に関して、日本が2005年にどのような対応をしたかに言及する。