Concanavalin A (Con A)肝炎マウスにおける肝樹状細胞の役割
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概要
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Concanavalin A (Con A)投与により誘導される肝傷害はT細胞依存性であることは古くから知られている.しかし,肝臓には自然免疫を担うNK細胞やNKT細胞が他の臓器に比べて最も多く存在し,特異な免疫応答の場であることも明らかとなってきた.Con A肝炎モデルマウスにおいては,肝傷害のエフェクター細胞としてのT細胞,NKT細胞,Kupffer細胞,liver sinusoidal endothelial cells (LSEC)や好中球の役割,およびその機能亢進が報告されている.しかし,肝樹状細胞(DC)は肝移植におけるトレランス誘導に重要な役割を果たしていることが明らかとなり注目を浴びているが,Con A肝炎での動態は不明である.本研究では,正常マウスの肝臓より効率よくDC分画を採取する方法を確立すると共に,自己免疫性あるいは劇症肝炎モデルとして使われるCon A投与マウスの肝DCの性状と機能について解析した.その結果,正常の肝臓にはI-A^-CD11c^<low>のplasmacytoid(形質細胞様)DCが優位に存在し,その抗原提示能が低いことが明らかとなった.Con A肝炎では肝DCの総数が減少すると共に,I-A^+CD11c^<high>CD205^+のmyeloid系DCの割合が増加すること,I-A^-CD11c^<low>DC中の補助シグナル分子であるCD80とCD86の発現低下を認めた.ケモカインのmRNA発現については肝,および脾DCでCCL17が増強し,CpG刺激によるサイトカイン産生能については,MCP-1の増加,およびIL-10の低下が肝DCに特徴的であった.これらの解析から,肝傷害における病態形成への肝DCの役割の一端を明らかにできた.
著者
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