ムチンコア蛋白発現,p53蛋白過剰発現からみた大腸粘液癌の検討
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概要
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一般に大腸粘液癌は,組織学的には細胞外粘液貯留(粘液結節:以下MC)が腫瘍全体の50%以上を占めるものと定義される.本研究は,外科切除MC随伴大癌76例,同MC非随伴大腸癌76例を対象として,癌の細胞分化(細胞粘液形質)と粘液癌では頻度が低いとされるp53蛋白過剰発現の面から,従来の粘液癌の定義の妥当性を検討した.対象例を腫瘍最大割面でMCが腫瘍全体に占める割合から[MC比>50%],[10≦MC比<50%],[0<MC比<10%],[MC比=0%]の4群に分け,それぞれのムチンコア蛋白MUC1,MUC2,MUC5ACの発現頻度とp53蛋白過剰発現頻度とを比較した.MCを随伴する大腸癌はその90%以上がMUC2を発現しており,それに対してMC非随伴大腸癌([MC比=0%]群)でMUC2を発現するものは10.5%のみであった.MC随伴癌は,MCの多寡によらず,3種類のムチンコア蛋白の発現状態(MUC phenotype)は同質であった.MC随伴癌のp53蛋白過剰発現は,MCの多寡に関わらず,非随伴癌に比べ有意に低く,MC随伴癌3群間では有意差はなかった.以上より,MCを随伴する大腸癌の中でMC比が50%を越えるもののみを"粘液癌"とする従来の定義には,妥当性は乏しいと考えられた.
- 新潟大学の論文
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