ポリグルタミン病におけるL-plastinの増加
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概要
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ポリグルタミン病は,疾患原因遺伝子の翻訳領域内に位置するポリグルタミン鎖の伸長により,神経細胞機能障害を来す疾患である.機能障害の機序として転写障害,ユビキチン・プロテアゾーム系の障害,軸索輸送障害などが提唱されているが,その本態は不明である.本症において引き起こされる事象を明らかにするために,伸長ポリグルタミン鎖の発現に伴う蛋白質発現量の変化を網羅的に検討した.その結果,伸長ポリグルタミン鎖を発現する細胞において,L-plastinが増加していることを見い出した.ポリグルタミン病患者の一部の剖検脳でもL-plastinの増加を認めた.L-plastinはアクチン結合蛋白であり,アクチンの調節を介してシナプス機能やエンドサイトーシスにも関与する.今回の結果より,ポリグルタミン病の病態機序における初期変化として,L-plastin増加に伴うアクチン機能異常の存在が推察された.
- 新潟大学の論文