UPdInの強磁場磁化過程(修士論文(1989年度))
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概要
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UPdInの単結晶の試料を用いて,パルス強磁場下における磁化過程の測定を行った。その結果,H//a軸,すなわち外部磁場Hがc面内にあると磁場に比例して直線的に比較的小さな磁化が現われ,35Tでも0.6μ_B/U atomであったが,H//c軸では0.3μ_Bの自発磁化を示した後,2段のとびを経て1.5μ_Bの飽和磁化を示す。その転移磁場はH_<C1>=27kOe,H_<C2>=163kOeであり共にヒステリシスを持ち,特にH_<C1>のものは広い磁場範囲にわたっている。またその磁気モーメントの大きさは,飽和磁化の1/5→1/3→1と変化した。この磁化過程は不整合分子場モデルを用いてよく説明され,H_<C1>の大きなヒステリシスもスピンの再配列による転移磁場の遅れと説明される。T_C=8.5K,T_N=20.8K付近での幾点かの温度における磁化測定ではT_Cを境に自発磁化の消えることが確かめられた。ただしH_<C1>,H_<C2>におけるヒステリシスは残っている。T_N真上の24Kでは2段目のとびの名残りが見られ,これは,short range相互作用によるものと思われる。30K以上では通常の常磁性磁化過程が得られた。
- 物性研究刊行会の論文
- 1990-05-20