統合医療の科学技術戦略(第58回日本東洋医学会学術総会)
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概要
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米国などでは1990年代央から普及が始まったIT(情報通信技術)で可能となった伝統医療・食品の有効性やその定量化("見える化")を踏まえ,漢方薬草のコード化(約7,000種類)・DB化を進め,伝統医療分野での特許取得も活発となっている。米国の伝統医療に対するプロパテント姿勢に象徴されるように,知財・特許戦略など各国の科学技術政策にも大きく影響するだけに,世界の大きな潮流に沿って,今こそ日本も,統合医療実現のための国をあげての取組みが必要である。日本がまずなすべきことは,医療政策と科学技術政策の統合,厚生労働省・農水産省・文部科学省・経済産業省政策の統合など,各省の"縦割り蛸壺"型政策の統合である。"政策頼み"で思考停止となってしまいがちの日本であるが,肝心のプレーヤーという視点で考えると,中国,韓国と比べても,日本の方が統合医療を確立しやすい環境にある。すなわち,中韓では,西洋医学と東洋医学の並存を国是としてきたため,両者間には"水と油"のような激しい対立があり,その統合はきわめて難しいとされる。しかし幸いにも日本では,西洋医学医師が科学的な,すなわち客観的データに基づく医療(EBM<Evidence Based Medicine>)として東洋医学を再構成し,両者の融合に努めている。加えて日本でも,従来から各地域に存在する農水産業を安全・安心かつ免疫力を高める産業として捉え始めている。農水産業の「食料産業」から「健康産業」化である。どの地域においても,"医・食・農・環"産業が統合され,子々孫々の代までもその地での生活が見通せる場作りが求められている。食が極めて重要な要素を占める東洋医学の科学化,すなわち「統合医療の科学技術戦略」は,世界に先駆けて少子高齢化社会に突入,過疎化が急速に進み,雇用の場(産業)の創出を求めている日本の各地域再生にも貢献することになる。
- 2007-11-20
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