糖尿病合併症をもつひとり暮らし高齢者が行う生活の調整 : 訪問看護を受けている1事例の検討
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概要
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糖尿病合併症をもつひとり暮らし高齢者を対象として,実現可能な短期目標の設定および家庭での実践と記録を行うという糖尿病自己管理への支援を行い,対象者自らが生活を調整していくプロセスについて示唆を得たので報告する。対象者は,B訪問看護ステーション利用者である2型糖尿病の70歳代前半女性(A氏)である。A氏は,糖尿病網膜症による視力の低下,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害を合併しており,訪問開始時のHbA_<1C>は9.0%であった。2003年12月〜2004年5月に8回の訪問を実施した。A氏は糖尿病食事療法への関心は高かったが,十分な実行ができていなかったため,まず,今までの生活を振り返り問題点・改善点を抽出した。さらに,身近で評価しやすい短期目標の設定,家庭での実践と聞き取りによる記録を行った。また,視力低下によって,家庭での実践について記録することが困難な状況であったため,目標が達成された場合カレンダーにシールを貼る方法を試み,対象者・ケア提供者ともに評価することが可能となった。4カ月にわたる糖尿病自己管理への取り組みについて,A氏は時間を決めて食事を摂ることを意識するようになったと話し,HbA_<1C>は8.0%と改善していた。今回の事例では,対象者による短期目標の設定と実践状況を確認できる記録の実施,さらに,記録の工夫によるケア提供者からA氏への肯定的なフィードバックにより,できそうだと思えることを一つずつ日常生活に組み込んでいくという生活の調整のプロセスが明らかになった。
- 2005-06-20
著者
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