看護実践における"comfort"の概念分析
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概要
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看護ケアによって「ああ気持ちいい」と感じる患者の状態は,どのようなものなのか,また,患者が「気持ちいい」と感じる看護ケアはどのようなものなのだろうか。看護実践で使用される"comfort"および"comfort care"の概念を明らかにし,患者が「気持ちいい」と感じる看護ケアのエビデンスを構築するための研究基盤を明確にすることを目的に,Rogersの方法を用いて"comfort"の概念分析に取り組んだ。看護実践におけるcomfortに焦点を当てるためにCINAHL(Cumulative Index to Nursing & Allied Health Literature)を利用し,1982〜2003年の期間で,キーワードを"comfort""comfort care"として検索を行った。787件のなかで要約がある英語文献113件から最終的に66文献および頻繁に引用される文献4件の計70文献を分析対象とした。属性として,「comfortは状態でありレベルがある」「comfortはプロセスである」「comfortは看護(ケァ)のゴール,アウトカムである」の3つが抽出された。「状態でありレベルがある」には,12のテーマ,「(さまざまな看護用品や用具の)使い心地のよさ」「discomfortが除去される」「安らかである」「安全である」「well-being」「強くなる」「愛情を感じる」「家族・友人とのつながりが保たれる」「適応している」「コントロール感覚がある」「自尊心が保たれる」「意思決定ができる」で構成された。先行要件としては,discomfortな状態がなくなるだけではなくcomfortレベルが高くなることへの「comfort needs」と「caring」「holistic care」「患者を擁護する」「身体ケア・生活ケア」「コミュニケーション」「情報収集・アセスメント」の6つから構成されるcomfort careが抽出された。帰結としては,「病気や治療を受け入れる」「病気の体験の意味を見出す」「生活を再構築する」「耐える力をもたらす」「意思決定ができる」「自分自身を取り戻す」「回復がもたらされる」が抽出された。概念分析の結果よりcomfort (care)モデルが描かれた。今後はこのモデルの妥当性を検証する介入研究が課題となってくる。
- 聖路加看護大学の論文
- 2006-06-20
著者
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