アイコナル近似 : 後方と横方向の効果
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概要
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我々がこの論文で行なった事は,正確なGreen関数(非相対論的及び相対論的なscalar, spinor粒子に対する)を一般的に3つの部分に分ける処方箋を提出した事である。それら3つの部分のうち前方と後方へ進む(非相対論的な場合は空間的,相対論的の場合は時間的な方向を意味する) propagatorを考慮すると, Andrianovと石原の見出した技巧により近似T行列は前方と後方へ進むtotal propagatorで書き表わせる。我々の方法とAndrianovと石原の方法の両方が協力して一番うまくいった例が, 5章で示したDirac粒子の擬スカラーポテンシャルによる散乱尚題であった。次に,非相対論的な場合のlinearly projected T-matrix T_jの適用限界を議論する。結論から述べると適用限界はθ≪1又はπ-θ≪1である。但し,古典軌道はj=i又はfであり,θは散乱角である。普通のアイコナル近似の適用限界はθ≪1 (|V/E|≪1はもち論仮定してある)である。我々の演算子法の言葉で言うと,これはG^<(+)>_j(j=i or f)がθ≪1でon-energy shell上にのっているという事である。T_jにはG^<(+)>_jと同様にG^<(-)>_jも含まれている。したがって, T_jに対する適用限界はG^<(+)>_jからθ≪1が, G〜<(-)>_jからπ-θ≪1が出てくる。
- 1976-09-20