放牧草地のシステム分析 : IX.コドラートによる草量調査結果の2〜3の統計学的特徴
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概要
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放牧草地における草量の推定には,古くから,調査の対象となっている草地内に何点かのコドラート(枠)を置き,コドラート内の草量全部を刈取って秤量する方法が用いられて来た。調査に必要なコドラートの数は次のような種々の要因によって左右される。まず必要とする草量の推定精度に依存する。また,草地に草量の地理的なバラツキが生ずるのは,地形,土壌中の水分や栄養塩類の地理的バラツキ,採食の不均一性,植生のバラツキ,草地の大きさ等々にもとづいているからこれらが関係する。本報告では,コドラートの大きさと数の関係,および調査対象とする草地の面積とコドラート間の草量のバラツキの関係について考察を行った。1)コドラートの大きさと数について:コドラートの大きさが0.25m^2から1m^2の範囲でかつ混播放牧草地の調査においては,調査のために刈取る面積が同一なら小さいコドラートを用いる方が草量の推定精度が高くなることを示した。0.25m^2のコドラートと1m^2のコドラートを用いた草量調査の比較を行うと,0.25m^2のコドラート20個(5m^2)を用いて刈取りした調査から得られた草量の推定値と,1m^2のコドラート10個(10m^2)を用いた刈取り調査から得られた草量の推定値がほぼ同じ精度であることを明らかにした。2)調査の対象となる草地の面積とコドラート間の草量のバラツキについて:一般に,草地の面積が広くなるほどそこに置いたコドラート間の草量のバラツキ(分散)は大きくなる。面積が1000m^2から2000m^2までは,面積の拡大にともなって分散は急速に大きくなるが,それ以上草地の面積を拡大しても分散はあまり大きくならないことを明らかにした。
- 日本草地学会の論文
- 1987-01-31