利用期間の異なるグリーンパニック・ローズグラスとイタリアンライグラスとの作付体系における総収量と気温との関係
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概要
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夏作グリーンパニックまたはローズグラスと冬作イタリアンライグラスとの2毛作輪作における夏作早播きの夏作長期利用体系と,夏作遅播きの夏作短期利用体系との,年間合計の乾物および養分収量の比較を行うとともに,日生産量と気温との関係を検討した。試験は2か年間行ったが,2年目は低温傾向で,全般的に低収であった。しかし,両年次とも本試験の条件下では年間合計乾物収量は,夏作長期利用体系が夏作短期利用体系を平均41kg/a上回った。長期利用の夏作暖地型草種の乾物収量は,短期利用の1.6〜1.8倍で,冬作イタリアンライグラスの長期利用は,短期利用の1.2〜1.3倍であった。イタリアンライグラスの乾物消化率は,暖地型草種より平均12.7%高かったが,2年次グリーンパニックの組合せを除いて,年間合計可消化乾物収量は,乾物収量と同様に夏作長期利用体系が勝った。また粗タンパク質収量においても,1年次において夏作長期利用体系が多収であった。暖地型草種の日生産量と生育期間平均気温との間に1次回帰が得られた。すなわち,昇温期(春〜夏)では1つの回帰式にまとめられたが,一方降温期(夏〜秋)では,夏作長期利用体系の早播きが緩勾配,夏作短期利用体系の遅播きが急勾配の2つの回帰式となった。暖地型草種を早播きした場合,春から初夏の低温下で生産の基礎となる茎数や根が充実するため,降温期における乾物生産を有利にしたと推察され,これが夏作長期利用体系の年間合計収量を多くした原因と考えられた。
- 日本草地学会の論文
- 1982-10-28
著者
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