ススキ株の生長と維持に関する研究 : 温暖地におけるススキ株の形成過程とその生態特性
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概要
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ススキ株の苗条群と地下茎群の形成並びに現存量の器官別構成比に関する調査に基づき,温暖地方のススキの生態特性を明らかにした。株の占有面積が約1000cm^2以上に達すると,苗条と地下茎の大きさは最大となり,地下茎数の新旧比は一定となった。これらの株においては約2ヵ月間隔で年4回の分けつが発生した。この分けつ発生と地下茎物質の転移との間には密接な関係が認められた。地下茎の三次性分岐と少数の四次性分岐が翌年の株形成に直接寄与し,これらの越冬した地下茎と当年の新地下茎の容積は,生育終期においては全地下茎容積の約半分を占めた。したがって,当地ススキの地下茎寿命は約2年と推定された。ススキの生育期は4つの段階に分けられるが,温暖地のススキでは,このうち第2期の栄養繁殖的生長期が比較的長かった。現存量の構成比や地下茎寿命も他の調査結果と違っており,特に地下部重/地上部重比は冷涼地の値よりもかなり低かった。こうした違いには環境条件,特に気温の差が影響しているものと考えられた。
- 日本草地学会の論文
- 1981-04-30
著者
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