有機液体分子の磁場配向(修士論文(1985年度))
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概要
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異方性をもつ有機液体に対しては直線磁気複屈折(コットン・ムートン効果)の観測からその異方的反磁性帯磁率の高感度測定を行なうことができ,その結果純粋な有機液体の場合にはその温度依存性がいわゆる"キュリー・ワイス則"に従うことが明らかにされてきた。本論文ではこれらの成果を背景とし,様々な有機液体分子の混合液を用いてその異方的反磁性帯磁率を測定し純粋な有機液体と同様に"キュリー・ワイス則"に従うことを示し,また混合液系の反磁性帯磁率を解析し,その"キュリー・ワイス定数θ"は有機液体分子間の相関を反映する量であることを明らかにする。ベンゼン-ニトロベンゼン,ベンゼン-パラキシレン等ベンゼン誘導体同志の混合液の場合には簡単な理論計算と良く一致する実験結果が得られ,ベンゼン-ニトロベンゼン,ベンゼン-パラキシレンの異種の分子間の相互作用の大きさは,各々ニトロベンゼン分子同志,パラキシレン分子同志の相互作用と同程度の大きさである。しかし丸い分子で異方性のないと考えられる四塩化炭素(CCl_4)とベンゼン誘導体との混合液の場合には,これまでの簡単な取扱いでは説明困難な測定結果が得られた。これらは四塩化炭素とベンゼン環との間に強い相互作用があり,四塩化炭素にベンゼン等がクラスター的に結合しているという模型を導入することで理解できることが明らかとなった。
- 物性研究刊行会の論文
- 1986-08-20