オーチャードグラス個体群における個体の生長と枯死 : II.雑草の侵入とオーチャードグラス個体の分げつ数の減少

概要

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前報と同様に,オーチャードグラス実験個体群を用いて,生長の個体変異に及ぼす個体密度と播種時期の影響を,雑草との相互関係のもとで調べた。オーチャードグラス個体群の生長は,播種時期がおくれるほど著しく劣り,特に低密度個体群では雑草害による生育阻害が時間の経過とともに顕著になった。個体群を構成している各個体は,雑草の密度と生長量の増大にたいして茎数を減少させ,これによって各個体重は茎数に高く依存し,種間の相互関係のもとでも横方向への増数的な生長に高い可塑性が認められた。その結果,オーチャードグラス個体群の単位面積当り茎数と主要雑草(メヒシバDigitaria adscendens)の単位面積当り個体数との間には,時間の経過にともない高い負の相関(0.1%水準)が得られた。種内,種間関係とは無関係に,各個体の形態的可塑性は主として茎数変化に基くことから,与えられた環境容量のもとで,個体群内では個体(株)数の調節に先行して各shootに対しても調節のなされている可能性が示唆された。
日本草地学会の論文
1978-01-31