放牧牛群の休息形(Resting form)について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
放牧地生態系解析の一環として,永年放牧地に放牧された牛群の日中行動のうち,休息形について調査検討した。調査は27haの放牧地に74頭の牛を4月から11月まで放牧しておこなった。休息形の調査にあたっては,休息率(放牧全頭数に対する休息している頭数の割合)および横臥率(休息している頭数に対する横臥して休息している頭数の割合)を定めておこなった。得られた主な結果はつぎのとおりである。1)休息率は夏に最も高くなり,春がこれに次ぎ秋は最も低くなる。これに対し,横臥率は夏に最も低くなり,春,秋には高い横臥率を示す。2)気温が高くなるほど横臥率は低くなる傾向を示す。3)アブ類の外部寄生昆虫の襲来とともに横臥率は急速に低くなり,アブの襲来個体数と横臥率との間には負の有意な相関関係が認められた。4)放牧家畜の日増体量と休息率との間には負の有意な相関関係が認められ,一方,日増体量と横臥率との間には正の有意な相関関係が認められた。これらの事実から放牧牛群の休息形の形態と環境条件との関係について論じた。5)以上の調査結果にもとづき,放牧牛群の休息形を佇立休息と横臥休息に大別し,さらに環境条件に対応して示す休息形態を5つに分類した。
- 日本草地学会の論文
- 1971-07-29