「公正かつ効果的な選挙」の確保に係るいくつかの問題とその検討 : 投票価値の平等と参議院,多選制限,大選挙区制限連記制に焦点をあてて
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概要
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民主主義において選挙の公正はなににもまして重要である。しかし何をもって「公正」というかは,国によってまた時代によって異なる。加えて,近代国家の道を歩み始めた明治以降初めてわが国の人口は減少した。今後,人口減少・少子高齢化の進展で社会のあり方が根本的に変化し,それに応じて価値観も変わっていくと,憲法の解釈もそれらと無関係ではいられない。本稿では,「公正な選挙」を実現し,わが国の民主政の健全な維持のために,議員定数不均衡の問題と知事および政令指定都市市長の多選禁止の問題,大選挙区における制限連記制採用の問題を採り上げて検討した。わが憲法の二院制の趣旨から参議院の独自性の強化は,定員削減の中で最終的には,各都道府県に2人ずつ配分して(憲法改正で参議院の廃止も可能である以上,ここまで削減することも許されると解する),米国の上院のようなかたちにすることも選択肢のひとつである。選挙によっては弊害が除去されず,自由の確保が困難ならば,法により多選を制限することで,むしろ新人の立候補の自由を実質的に保障し,住民の「候補者選択の自由」を一定の期間ごとに定期的に確保することが,選挙権のより一層の保障につながり,それが未来の日本の健全な民主政の過程の維持にはぜひとも必要だ,と考える。
著者
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