ラットのメタンフェタミンによる条件性場所選好に及ぼす副腎摘除の効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年、依存性薬物の活動性昂進作用や強化効果には、視床下部-下垂体-副腎皮質ストレス反応(HPA)系が深く関与していることが示唆されている。そこで本研究ではメタンフェタミン(MAP)による条件性場所選好(CPP)に及ぼすADXの影響を検討した。まずはじめに、Wistar-Imamichi系雄ラット(90日齢)を、副腎摘除(ADX)群(n=30)、偽損傷(Sham)群(n=30)に振り分け、すべての被験体について血中CORTのベースレベル測定のための採血を行った。翌日、SAL、MAP 0.5mg/kg、MAP 1.0mg/kgのいずれかを腹腔内投与し、その5分後に小動物自動運動解析装置により活動性を30分間測定し、測定終了直後に採血を行った。その結果、ADXによって血中CORTのベースレベルおよび新奇場面ストレス誘発性の増加が抑制され、MAPによる活動性昂進作用に対する抑制効果が見られた。活動性測定の翌日から、CPP実験を行った。被験体を10日間にわたってSALと薬物で交互に場所条件づけし、11日目には中央の部屋に条件づけした。12日目に選好テストを行った。その結果、偽損傷群においてはSAL投与群に比べて、MAP投与群では薬物コンパートメントに対する場所選好がみられたが、ADXによりその選好性は抑制された。以上の結果から、ADXによる血中CORTレベルの抑制によって、MAPによる活動性促進作用および条件性場所選好に対する抑制効果が認められ、HPA系とMAPによる活動性促進作用および強化効果との関連が示唆された。