人間開発と女性の開発参加
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概要
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世界の開発途上国の農村女性は,家庭内では家事・育児,農業及び農外では有給または無給の労働者である。しかし,女性の雇用は「目につきにくい」ことがおおく,したがって女性は農業生産の場で生産者ではなく,単なる従属者あるいは非生産者と見做されてきた。事実は,女性は農業の中心にいて,生産力の中核的な担い手であるにもかかわらず,各国に存在する社会的・文化的・政治的性差別のために正確な評価も与えられず,むしろ過少評価されている。人間の幸せは所得のみで測るのは不十分であるという反省に立って,国連開発計画(UNDP)は,生活の質を測る革新的な人間開発指数(HDI)を作成した。これは平均余命,知識,生活水準を組合せたGNPを超える包括的な社会経済的指標であり,各国の一人一人の人間の幸福や福祉の向上に結びつく人間中心主義の開発を表す指標である。それにもかかわらず,世界の国々には男女間に存在する不平等のために,あるいはその克服が不十分なために,HDIで示される各国の順位は絶対的なものではない。HDIの値を高めるために果たす女性の貢献をもっと取り入れる新しい試みもようやく行われるようになった。本格的な男女間平等を獲得するための革命が成功すれば,人類進歩の一里塚となるだろう。
- 1996-06-26