企業統治を超えて : その限界と新たな課題
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概要
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1.アメリカ的企業統治制度にこだわらず,雇用重視,大型取締役会,社外取締役皆無の伝統的最高経営組織に固執するトヨタおよびキヤノンは,アメリカにおいて企業統治における模範とされるGMまたはXeroxよりも長期的に高い経営成果を実現している要因は何か.2.この事実から,企業統治が単独で経営成果に及ぼす影響は限定的であり,それ以外の要素がより強く経営成果を決定するという仮説が導かれる.それ以外の要素とは企業戦略,企業倫理,そしてこれらを基本的に規定する企業理念と従業員によるその共有により形成される企業文化である.3.またアメリカのメドトロニック社とドイッのベルテルスマン社の事例研究により,両社の高い業績は強固な企業理念,企業文化,企業倫理とこれらにより規定される企業戦略が決定的であると結論付ける.4.したがって法規制,社外取締役など他律的企業統治よりも,最高経営責任者が上記の五要素を経営者機能として策定,実践,企業の内部者による支援による自律的企業統治が経営成果にとって重要である.5.今後より多くの事例研究を重ねることにより,これら経営者機能と経営成果との関連を明確にする必要がある.
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