精神障害者の地域生活支援における一考察 : 障害者自立支援法施行の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2006(平成18)年4月の障害者自立支援法施行は,全国の障害者,家族,関係者の生活に大きな影響を与えている。10月からは障害程度区分の認定や新しい施設・サービス体系への移行の中で,精神障害者の地域生活を後退させ,病院から地域への流れが止まってしまうのではないかとの不安が広がっている。そこで,障害者自立支援法施行後の影響について,茨城県内にある複数の精神障害者通所授産施設の事業費の比較をもとに検証してみると,施行前の不安が現実のものになってしまっている。障害者自立支援法の問題点の一つは,原則1割の応益負担が導入されたことによる利用者負担増である。重度障害であればある程負担が増えるので,サービス利用を控えたり,働く意欲を減退させたりという状況をもたらしている。精神障害者の通院医療費公費負担制度が自立支援医療に改正され,これまでよりも通院を控える者もでてきている。低所得者に対しては,上限設定はあるもののきめ細かな軽減措置が必要である。また,精神障害者通所授産施設においても,工賃収入を上回る利用料負担に,働く意欲をなくして施設利用を断念した者も出てきている。障害者自立支援法の課題を明確にして,精神障害者が地域のなかで自立した生活を送るための地域包括支援システムについて考察するものである。
- つくば国際大学の論文