わが国における精神障害者社会復帰論の展開I : ソーシャルワークの視点から
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概要
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わが国の精神保健福祉領域におけるリハビリテーションの活動の歴史は、約40年を経過している。一方、精神保健施策は精神科病院に精神障害者を隔離収容する入院医療中心で実施されてきた。リハビリテーション活動、特に社会復帰に向けた活動には限界があったが、精神保健法(1988年)の施行により、精神障害者の社会復帰の促進と人権擁護が法定化されて以降ようやく具体的な社会参加に向けた活動が展開されるようになった。本研究の目的は、精神保健福祉領域における社会復帰活動として行なわれた作業療法、レクリエーション療法などとともに、その中に位置付けられてきた「院外作業」について、文献及び資料を中心に考察し、「院外作業」の果たしてきた意義と限界について検証することである。治療者が「院外作業」を医療の枠の中で位置付け、参加者を選出し報酬の扱いを定めることなどについては少なからず疑問点が見出された。また「院外作業」には就労こそが社会復帰であるとする考え方が底流にあることが認められ、この業務に携わってきた精神科ソーシャルワーカーの役割意識において、明確な社会参加の視点は見出し得なかった。以上の事柄を、ソーシャルワークの視点である「生活者を支援する視点」、「利用者の自己決定を尊重する視点」、「社会参加を推進する視点」から検証し、今後の精神障害者の社会参加のための支援のあり方に対し示唆を与えようとするものである。
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