障害受容の過程と援助法
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概要
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リハビリテーションとは、「全人間的復権」を意味している。そして、特に、リハビリテーションを進める上で重要なことの1つに「障害の受容」がある。本論文では、中途障害者であり、現在は、詩画作家として活躍している星野富弘氏のケースを取り上げて、中途障害者に対して、障害受容を進めるにあたっての有効なリハビリテーションの援助法について検討する。方法としては、星野氏の手記を使用する。手記は、障害を負った星野氏の受傷前後から9年後の自宅に退院するまでの体験が綴られているだけではなく、障害を負った星野氏に対して医療関係者を始めとする周囲の人々がどのように援助を展開したかということも書かれている。したがって、星野氏の手記は障害受容を促進するための援助法というものを知る上での貴重な資料になる。手記から星野氏は、ショック-回復への期待-悲嘆-再適応への努力-社会復帰というプロセスを経て障害受容に至っていることが分かる。又、障害受容を進める上で、プロセスごとに応じた、さまざまなリハビリテーションがなされている。障害受容を進める上で特に重要だと思われる心理的リハビリテーションの場面では、いわゆる、専門職以外の人たちからの影響を強く受けていることが分かる(障害者同志の交流、キリスト教信仰)。又、社会的リハビリテーションの場面においては、医療と福祉の専門職の連携が見られる。このことからも、障害受容を進める上でのリハビリテーションというものは、専門職、非専門職を含めた総合的なアプローチが大切であることが分かる。
- 東海大学の論文