野球における投打方向の違いが体幹回旋筋力に及ぼす影響 : 右投げ右打ち選手と右投げ左打ち選手の比較(平成18年度大学院スポーツ科学研究科修士論文要旨)
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概要
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大学硬式野球部の右投げ右打ち選手と右投げ左打ち選手を対象に, 体幹回旋筋力を測定し, 投打方向の違いが体幹回旋筋力に及ぼす影響を検討した.その結果, 体幹右回旋筋力・体幹左回旋筋力・右回旋筋力/左回旋筋力の比率の全てにおいて, 両群間に有意な差は認められなかった.また, 体幹回旋筋力に左右差が生じていなかった.この理由として, 両群ともに体幹筋力の不均衡を予防すると支持されている逆素振りを行っていたことや, 体幹にかかる投球時の回旋ストレスは体幹回旋筋力の均衡を保つ程大きくはないと考えられ, 投打方向が異なる右投げ左打ち選手においても, 逆素振りを行うことで体幹筋力の均衡を保っていたものと考えられた.したがって, 投打方向の違いが体幹回旋筋力に及ぼす影響は少ないと示唆された.さらに, 高校硬式野球部の右投げ右打ち選手と右投げ左打ち選手を対象に, アンケート調査を行った.全ての項目において, 両群で有意な差は認められなかった.また, 投打方向の違いに関わらず, 腰痛を経験している選手ほど素振り回数が有意に多く, さらに逆素振り回数は素振り回数に対する割合の高い選手は有意に腰痛が少なかった.したがって, 腰痛の発症においても投打方向の違いによる影響は少ないことが示唆された.また, 両実験の対象選手の身体測定により右投げ左打ち選手の方が, 右投げ右打ち選手に比べ体格が小さく, 右投げ左打ちに変更する選手の特徴である可能性が示唆された.