体育大学生と医療技術生の身体意識に関する研究 : 運動の再生(再現性)からのアプローチ(平成18年度大学院スポーツ科学研究科修士論文要旨)
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概要
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身体意識と運動の再生(再現性)との関係を検討するために, 意識調査と2つの実験を行った.調査対象は, 共に身体および身体運動に深く関係している体育大学生745名(体育群)と医療技術生224名(医療技術群)で, 実験対象は, 無作為に抽出した体育群26名・医療技術群40名であった.実験1は, 腕の定位(肩関節屈曲運動)を自らの腕で行う場合(運動I)と対象者の腕で行う場合(運動II)で行った.運動Iでは, 閉眼にて角度(90度と120度)と試行間隔(5秒と30秒)を組み合わせた4課題を, 運動IIでは, 開眼で90度と120度の2課題を, 各々5試ずつ実施させた.実験2は, 閉眼にて4方向(前・後・右・左方向)への2メートル歩行を実施させた.意識調査と2つの実験結果を, 両群間で比較した.結果は, 以下の通りである.1.身体意識の構造に違いがみられた.体育群では, 「体型」「運動」「重心・中心」「上半身」「容姿」の5因子が, 医療技術群では, 「体型」「運動」「表情」「筋」「肥満」「長さ」「肩」の7因子が抽出された.2.実験1の結果から, (1)自分で運動を再生する場合と他者を動かす場合では, 運動再生において, 群間に有意差は得られなかった.(2)同じ角度課題における試行間隔を変えた課題間の比較では, 有意差は得られなかった.(3)角度よる難易度の差は, 運動Iで認められた.但し, 難易度に運動感覚残効の影響が加わっていることが示唆された.3.実験2の結果から, 運動空間の異方性に, 群間で差がみられた.体育群では方向間に有意差はなく, 医療技術群では「前と後」・「前と右」に有意差が認められた.4.身体意識調査と実験1・2の関係では, 身体意識得点の高い者は, 体育群で実験2「右」と, 医療技術群で実験1「運動I・120度」と負の相関があった.