運動が成長期ラットの骨成長に及ぼす影響(平成16年度大学院スポーツ科学研究科修士論文要旨)
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概要
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運動が成長期の成長板軟骨の形成に及ぼす影響を明らかにする目的で、4週齢のSD系雄ラットを用い、非運動群(n=10)、運動群(n=10)、荷重運動群(n=5)に分け、13週齢まで実験を行った。実験条件は、通常ケージ内飼育を非運動群とし、運動群は小動物用トレッドミルを用い運動を行わせた。荷重運動群は体重の50%の荷重を負荷し、運動を行わせた。実験終了後、脛骨の骨長、骨幅を測定し、領域別骨密度をDXAにより測定した。さらに、免疫組織学的染色を施し、脛骨近位骨幹端部を光学顕微鏡にて観察し、以下の知見が得られた。1.脛骨長、骨幅の変化1)骨長は、非運動群43.02±0.43mm、運動群44.44±0.74mm、荷重運動群43.18±0.79mmであり、運動群の骨長は非運動群及び荷重運動群に比べ有意に長かった(p<0.05)。2)骨幅は、非運動群2.96±0.09mm、運動群3.00±0.01mm、荷重運動群3.04±0.15mmであり、荷重運動群の骨幅は、非運動群及び運動群に比べ高い傾向を示した。2.領域別骨密度の変化脛骨近位骨幹端部の骨密度は、非運動群0.138±0.004g/cm^2、運動群0.151±0.006g/cm^2、荷重運動群0.148±0.004g/cm^2であり、運動群及び荷重運動群の骨密度は、非運動群に比べ有意に高かった(運動群p<0.01、荷重運動群p<0.05)。3.脛骨近位骨幹端部の病理組織学的観察結果1)運動群の軟骨細胞は、非運動群に比べ規則的な配列を呈し、肥大軟骨細胞周囲に空胞化した軟骨細胞が観察された。2)肥大軟骨細胞の面積は、非運動群272.86±58.79μm^2、運動群371.97±61.92μm^2、荷重運動群389.91±62.35μm^2であり、運動群及び荷重運動群の肥大軟骨細胞面積は、非運動群よりも有意に高かった(p<0.01)。4.脛骨近位骨幹端部の免疫組織学的観察結果1)運動群の肥大軟骨細胞にVEGFの反応が認められた。2)運動群及び荷重運動群の骨芽細胞に、オステオカルシンの反応が認められた。以上の結果より、成長期の運動は脛骨の長軸方向への発育を促進し、脛骨近位骨幹端部の骨密度を上昇させることが明らかとなった。さらに、肥大軟骨細胞への血管侵入を促進し、内軟骨性骨化による骨基質への置換を早めることが示唆された。
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