高脂肪食摂取下における運動と血中レプチンが免疫機能に及ぼす影響(平成16年度大学院スポーツ科学研究科修士論文要旨)
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概要
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高脂肪食摂取下での中程度の運動が、生体の免疫能に及ぼす影響について検討するためにwistar系雄ラットを用い、食餌内容・運動の有無により4群設定し、7週間飼育後に、それぞれリポポリサッカライド(炎症反応誘発物質LPS)もしくはNaCl投与により全8グループに分け、血中レプチンとリンパ球サブセットを測定した。脂肪組織重量と血中レプチン濃度との間に、また血中レプチン濃度とCD4との間に有意な正の相関関係が認められた。LPS投与下で高脂肪食安静群において有意な好中球の増加とCD8の低下が示されたが、他の3群は差が認められなかった。これらの結果から、高脂肪食摂取に伴う血中レプチン濃度の増加によりCD4が上昇し、エフェクター機構が効果的に機能することから、免疫機能が向上する可能性が期待されたが、好中球の増加から強い炎症が誘導されたと考えられ、免疫機能の低下を引き起こす可能性が示唆された。そして、肥満による血中レプチン増加の効果よりも、肥満に伴う免疫機能に抑制的に作用するアディポサイトカインの増加が免疫機能の低下を惹起する可能性も推察された。一方、運動はCD4やレプチンに対して直接影響を及ぼさない可能性が認められた。さらに、運動により脂肪の過剰蓄積が直接抑制され、免疫機能に対して抑制的に作用するアディポサイトカインの減少も大きく関与している可能性が考えられた。従って、本研究により免疫機能の調節にレプチンと運動の相乗効果は認められなかったが、脂肪組織が重要な役割を担う可能性が示唆された。
- 大阪体育大学の論文
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