経膣的切除術を施行した直腸gastrointestinal stromal tumorの1例

概要

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症例は71歳女性。下血を主訴に近医を受診し,精査加療目的に当科に入院した。直腸指診で,直腸前壁に表面平滑な硬い腫瘤を触知した。大腸内視鏡検査では,肛門縁より約3cmの位置に中心に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を認めた。生検組織標本の病理組織学的検査および免疫染色にてgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断し,経膣的腫瘍切除術および回腸瘻造設術を施行した。膣後壁に縦切開を加え,更にその下端に横切開を置き,膣壁を直腸膣中隔より剥離した。次いで腫瘍より約1cm離して直腸壁を腫瘍周囲より切離し腫瘍を摘出した。55mm×45mm×35mm大の灰白色,軟な充実性腫瘍で,病理組織学的には紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色にてS-100蛋白,α-smooth muscle actin陰性,CD34,c-kit陽性でGISTと診断した。直腸GISTの本邦報告例は自験例を含め47例であるが,経膣的切除は本症例の他には1例にしか施行されていない。今回我々は,直腸GISTに対する経膣的切除の適応と手技についての考案を加えて本症例を報告する。
自治医科大学の論文
2004-12-01