社会福祉法人の合併がもたらす問題と課題について
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概要
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NPO 人材開発機構が実施した社会福祉法人の経営者意識調査のデータから,社会福祉法人の合併の際,問題になる点と課題を取り上げた。最近,社会福祉法人の合併化の方向性が打ち出された。本論文は,合併に焦点を当てながら,調査データを分析して問題と課題を抽出し,その上で合併が成功するために必要な条件について考察したものである。一般的に,民間企業同士であろうと社会を土台にした団体であろうと,合併は容易ではない。さらに社会福祉法人の合併を難しくしている問題がある。(1)から(3)まで挙げた問題である。(4)は解決課題として筆者の提案である。(1) 各社会福祉法人の間には人事制度の違いが大きく,そのことが合併相手を選定するときの障害になっている。(2) 社会福祉法人には中間管理職が育っていない。そのことが合併後の法人経営に支障をきたす。(3) 政策の見地から,社会福祉法人を合併に追い込むことは,社会福祉法人の自主的経営を損なう恐れがある。(4) 合併が可能だとしたら,「同質化の合併」が望ましい。次善の策として,「提携化」がある。「同質化の合併」とは「同じサービスや商品」を提供している法人同士の合併とか,「同じ業態(サービスの提供の仕方)」を採っている法人同士の合併をいう。もし,「同質化の合併」の相手が見つからないとすれば,次善の策として他事業者との「提携化」が望ましい。本論文は,社会福祉法人の合併に伴う問題点を浮き彫りにし,その問題を解決することによって社会福祉法人の改良を促すことを目的とする。
- 国際医療福祉大学の論文
- 2007-07-31