Sea Anchorに關する一考察
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概要
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海上時化の度合と船形,船の安定性能等の關係で,特に小形船では,前進によつて安全を期し得ないcaseも屡々ある。況して裝備機關や舵器の故障等の爲めに航行不能となれば,漂〓によつて一時危險に對處しなければならない。一般運用書においても,數百屯以下の汽船補助機關附帆船漁船等は,時化を凌ぐ最も有効な方法として,Sea Anchorを用うべきことを強調している。或る地方では「タラセ曳」又は「タラシ曳」と呼んで盛に利用している。亦安全法設備規定にも二百屯以下の漁船救命艇,筏,端艇等には,Sea Anchorの備付を規定している。元來漂〓の方法としては,船首漂〓と船尾漂〓とが考へられるが,一般的には,耐波性最も強靱なる船首漂〓が,より上策であることは運用の通則である。從つて有効なる船首漂〓には如何なる程度のSea Anchorを必要とするかについて,一考察を試みた次第である。而して漂〓する船體に影響を致へる外力としては,風壓や波浪が考へられるが,風壓が最も大きな要素となるので,波浪の影響は一應おいて風壓のみについて考へてみた。
- 社団法人日本航海学会の論文