中枢性思春期早発症の臨床内分泌学的研究
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概要
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昭和39年より昭和57年3月までに経験した中枢性思春期早発症患児23名(特発性19名,器質性4名)について,内分泌学的および臨床的な検討を行ない次の結果を得た。1.特発性思春期早発症19名においては,女児16名,男児3名と女児が多かった。全例に何らかの二次性徴の出現が認められ,身長もsmall for date児である1例以外は標準を上まわっていた。骨年齢は18名中16名が暦年齢を上まわり,他の2名も経過中に暦年齢を上まわった。2.器質性思春期早発症は4名とも重症な精神神経学的な後遺症を持っていた。二次性徴が全例に認められ,全例骨年齢が暦年齢を上まわっていた。3.特発性思春期早発症のうち15名をN, MPAおよびCAで治療した。二次性徴を暦年齢相当に退行させることは困難であったが,ほぼ半数の例の恥毛,乳房などの二次性徴の進行を停止させることができた。治療終了群よりの検討では最終身長の平均は148.1cmであった。4.特発性の女児例においてLH-RHに対するLH, FSHの反応や,エストラジオールの値が思春期前の範囲にある例が半数以上であった。器質性の4例のエストラジオール値は全例思春期相当であり,3例に施行したLH-RH負荷後のLHの反応も3例すべて思春期相当であった。特発性の男児例はLH-RH負荷に対するLHの反応やテストステロンの値は,思春期相当であった。5.副腎性アンドロゲンであるDHEA-Sは特発性,器質性とも全例が暦年齢相当であり,adrenarcheがgonadarcheに先行しているとは思われなかった。6.治療によりLH-RH負荷後のLHの過大反応は抑制されるが,エストラジオール,テストステロンを完全に思春期前値に抑制することは困難であった。
著者
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