カエル骨格筋線維の電気的定数と活動電位伝導速度との関係
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概要
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微小電極を食用蛙Rana catesbianaの縫工筋に刺入し,単一筋線維を刺激する。筋線維の縦方向に12〜16個の電極を並べ,単一筋線維の活動電位を記録し,その伝導の模様を調べた電極間電位を補間し,オシロスコープの横軸上に等電位図をカラー表示する。一次元表示の等電位図である。オシロスコープの垂直軸は時間軸で刺激後の等電位図の経過を示す。これにより移動する活動電位を示すカラーが斜めに描かれる。斜線の傾斜より,活動電位伝導速度(以下CVとする)を計算できるが,斜線は必ずしも直線とならず,徐々に円弧を描く例がある。これは活動電位の伝導が末梢に行くほど減速していることを示す。その他斜線の角度が急に変化するものがあり,速度の不均一さが筋線維上でみられる。それらを等電位図上で確認した上で,CVを正しく測定した。CVのQ_<10>は20℃において約2.0であったので,この値を用いてCVを補正すると,平均値は1.96±0.27m/secであった。正確なCVが測定された筋線維について,その膜の電気的諸定数を求めた。時定数time constant(以下τとする)はCと相関し,γ(相関係数)は-0.42であった(P<0.01)。膜容量(以下C_Mとする)もCVと相関し,そのγは-0.36でP<0.01であった。長さ定数length constant(以下λとする)及びHodgkin & Nakajimaの方法に従って算出した筋線維の直径(以下Dとする)とCVとは相関しなかった。単位面積あたりのT-systemの量がC_M,τの大きさと関係しているので,CVは単に筋線維のDや膜のλでなく,T-systemの多寡に左右されていると考えられる。
- 千葉大学の論文