各種神経因性膀胱による排尿障害に対する経尿道的切除法の検討
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概要
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外傷性脊髄損傷を除く25例の男子神経因性膀胱患者の排尿障害に対して,排尿機構を破壊しない目的で,膀胱頸部の3時9時を温存する経尿道的切除術(TUR)を施行し,残尿量の減少,尿保持能について検討した。対象は54年1月から3年間に千葉大学病院泌尿器科でTURを行なった40歳から80歳平均63.4歳の男子神経因性膀胱患者で,原因疾患は脳疾患10例,脊髄疾患4例,末梢神経疾患3例,混合型8例であった。術後残尿量では25例中22例は満足のいく減少を示したが高度の利尿筋活約筋協調不全(DSD)を示した2例は無効,過度の拡張膀胱を示した1例は残尿減少不十分であった。尿保持能では術前に認めた11例の尿失禁患者のうち9例は消失し,2例は改善した。又術後にUninhibited sphincter relaxation (UIR)の出現した1例は術後尿失禁が出現した。神経因性膀胱の治療では,尿失禁の出現等で非常に日常生活が制限されてしまう揚合があり,各症例のその時点でのactive daily life (ADL)を十分検討して治療法を決定する必要がある。術前に詳細な排尿機能検査を行なって高度のDSD,過度の拡張膀胱,UIRを除外すれば,本術式は尿排出障害を有する男子の各種神経因性膀胱に対して,排尿効率の改善,尿失禁を起こさないことで,ADLをせばめる事がなく有効な手術法と思われた。
- 千葉大学の論文
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