大腸癌の病理組織学的研究 : とくに血管侵襲と予後を中心として
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概要
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本論文は大腸癌手術例(201例)及び剖検例(24例)について癌細胞が静脈内に浸潤を示す過程を連続切片で検索し,血管侵襲の病理形態学的な判定基準を明らかにすることを目的とした。また,この血管侵襲像と予後を左右するその他の因子と比較し,さらに血行性肝転移との関連性を検討し,次の結果を得た。1).原発巣における癌細胞浸潤を受ける血管は主として毛細血管,静脈系である。2).その血管変化は血管閉塞型と血管内皮細胞びらん及び血管内浮遊型に分類出来た。3).剖検例で血行性肝転移の有無から上記の血管変化を検討した結果,血管侵襲陽性と判定すべき所見は血管内皮細胞びらん及び血管内浮遊型である。4).3,の基準で血管侵襲の頻度を調べると陽性例は34.8%であった。5).血管侵襲は大腸壁のうち,粘膜下層において頻度が高く,癌細胞によって侵襲を受ける血管が大きい程,血行性肝転移を高率にみとめた。6).血管侵襲と予後に影響を及ぼす他の因子との比較をした結果,O型(早期癌),pm癌(固有筋層までの癌),INFαの症例では血管侵襲をみとめなかったが,3,4型,漿膜を越えて浸潤を示す癌(s, si)及びINFγに血管侵襲を高頻度にみとめた。7).大腸癌の予後に関連する因子としては癌腫の漿膜浸潤,INF分類,リンパ節転移,血管侵襲の有無が重要であった。
- 千葉大学の論文
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