急性腎不全の病因と病態生理 : 最近の研究の方向と将来
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概要
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急性腎不全の病因に関しての最近の話題としては,薬剤二剤併用によるもの,acute postpartum renal failure,肝腎症候群,myoglobinuriaによるもの等がある。また急性腎不全の分類方法も最近はfunctionalとorganicという分類,ないし原因別にnephrotoxinおよびmalperfusionによるとする分類が一般的になって来た。急性腎不全の病態生理に関しては,現在なお混沌としているが,vasomotor nephropathyという言葉で表現されるように,腎血流低下ないし腎内血流再分布およびそれに併う糸球体濾過率の低下説が最有力である。この腎血流低下を招来するmechanismとしては,vasoactive mediator,cell sweling, endotoxin, disseminated intravascular coagulationが考えられるが,現時点ではvasoactive mediator,それも一時いわれたようにcatecholamineではなく,renin-angiotensin axisの関与が強く示唆されている。さらに将来の研究の方向として,renin-angiotensinのinhibitorの開発,renin-angiotensinおよびendotoxinに対するimmunizationによる急性腎不全の治療の可能性,中心静脈栄養の急性腎不全へのより広範な応用等があるが,この疾患を克服するためには,広く基礎医学,臨床医学力を合せての協同研究が必要である。
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