ペントバルビタールの脳内濃度と麻酔深度の経時的観察
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概要
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ペントバルビタール催眠時の薬物の脳内濃度と麻酔深度との関係を明らかにする目的で実験を行ない,さらにカフェイン,あるいはクロルプロマジンを前投与し,ペントバルビタールの薬理作用と代謝におよぼす影響を比較検討した。雄のウイスター系ラットに,カフェイン50mg/kgあるいはクロルプロマジン10mg/kgを腹腔内投与し,5〜10分後に,それぞれ興奮あるいは抑制の見られたラットに30mg/kgのペントバルビタールを静注し,その後適当な時間に断頭し,全脳と血中のペントバルビタールを定量した。麻酔深度はCroftのスコア法に従った。導入時間は,ペントバルビタール投与後,正向反射の消失までとし,平均睡眠時間は,その消失から回復までの時間とした。ペントバルビタール単独投与群,カフェイン前投与群,クロルプロマジン前投与群のそれぞれで,導入時間は,65.0秒,94.1秒,30秒以内,平均睡眠時間は,50.3分,36.0分,119.6分であり,最も深い麻酔深度に達する時間は,10分,10分,1分以内であった。回復過程で,ペントバルビタール単独投与群は速かに回復し,カフェイン前投与群は協調運動を欠く時期が,クロルプロマジン前投与群はうずくまったままの時期が見られた。また,ペントバルビタールの脳内,および血中濃度には,カフェイン前投与群の脳内30分値を除き,有意の差が見られなかった。ペントバルビタール単独投与群では,麻酔深度と薬物の脳内濃度の間に平行関係が認められた。一般行動の面からは,カフェインは拮抗的であり,クロルプロマジンは,明らかに協力していたが,ペントバルビタールの脳内濃度と行動との面でずれが生じていたところから,カフェイン,クロルプロマジンは,ペントバルビタール代謝以外の面で,ペントバルビタール催眠に対して,拮抗ないし協力するものと思われる。
- 千葉大学の論文
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