閉塞性肺疾患における運動負荷時呼吸動態の検討
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概要
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1.慢性肺気腫症例と気管支喘息症例における,運動負荷時呼吸動態の差異および,慢性肺気腫症例における運動負荷時呼吸動態の解析を行うために,慢性肺気腫12例,気管支喘息7例について自転車エルゴメーターを用いて運動負荷を行った。2.平均負荷量は肺気腫症例と気管支喘息症例の間に大きな差があり,前者では平均48.3W,後者で平均105.7Wであった。また,単位負荷量あたりの平均換気量は肺気腫例0.42l/m/W,喘息例0.39l/m/Wと両者に著しい差異がなく,肺気腫症例においても負荷終了時十分量の換気をとりこんでいる可能性が示された。単位負荷量あたりの平均酸素消費量は肺気腫例が喘息例より大きかった。負荷後の平均Pao_2は喘息症例で著明に上昇しているが,肺気腫例では軽度上昇にとどまり,負荷後のPaco_2は前者では減少し,後者では上昇した。V_D/V_Tは肺気腫例では0.55から0.45に軽度低下したが,喘息例では0.46から0.18へ著明に減少した。A-aDo_2は肺気腫例で平均26.2mmHgから22.6mmHgへ,喘息例では25.5mmHgから17.6mmHgへ減少し,両者に明らかな差があった。3.対象とした肺気腫例はBurrowsの分類に従うと,type A 9例,type B 2例,中間型1例である。負荷後にPao_2が減少する例が3例あり,いずれも同時にPaco_2の上昇を伴い,A-aDo_2は2例で不変,1例で著明に増加した。これらの3例はtype A 2例,type B 1例で,いずれも%FEV_<10>が34%以下の臨床的重症例であった。重症でないA群に属する他の例ではPao_2は上昇ないし不変,Paco_2は不変ないし軽度上昇または軽度低下であった。4.このようなわれわれの成績は,海外の諸報告とほぼ一致し,われわれの行なった運動負荷法が臨床的に十分有用であると考えられ,とくにP_<ET>CO_2をはじめとする呼吸動態の連続的解析により,容易に重症例を診断しうることが明らかとなった。
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