イヌ翼口蓋神経節に出入する有髄神経線維
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概要
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成熟イヌ33頭について,翼口蓋神経節に出入する神経を,肉眼解剖学的に観察するとともに,Wallerの変性実験をおこない,次の結果を得た。1.翼突管神経中の有髄神経線維の38.9%は橋脳に起源する副交感性節前線維で,57.7%は膝神経節に起源する知覚線維である。その他起源不明の有髄線維が3.4%含まれている。2.膝神経節に起源する知覚神経線維は大部分,小口蓋神経を通り軟口蓋に分布し,主に大・最大径の比較的太い線維からなる。この種の知覚線維の鼻粘膜への分布は極めてまれである。3.本実験で涙腺に侵入する副交感性神経線維の経路を探したが,実験形態学的に確実な経路を証明することはできなかった。4.膝神経節起源の有髄性知覚神経線維の一部は翼口蓋神経節を通過するとき髄鞘を脱し,無髄線維となるようである。