腸炎ビブリオ食中毒の実験的研究
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概要
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腸炎ビブリオの実験的感染発症試験を体重2kg前後のアカゲ猿を用いて行なった。患者糞便分離株(V.parahaemolyticus 4167株)の3%NacL加BHI-培養液50ml(約10^9/ml)を経口的に投与した群では,発症はみられなかったが,菌投与4時間後に血液および腸管のserotonin値は顕著な低下を示し,また,腸管および肝のMAO活性は上昇した。一方,培養菌液投与1時間後にserotoninを1頭当たり100μg静注した群では,培養菌液投与2〜6時間に水様便の排泄がみられ,これらの下痢便から,投与したと同じ血清型の菌が分離された。また,培養菌液投与後直ちにiproniazid(1頭当たり1および15mg)を静注した場合にもserotonin投与群と同様の結果を示した。腸炎ビブリオを投与後,aminoguanidine(1頭当たり4mg)を静注したところ,下痢の発現がみられ,また,投与菌と同一型の菌が糞便より分離された。この場合,血中histamine値は増加したが,培養菌液のみを投与した場合には,血中histamine値は減少した。さらに,腸炎ビブリオ投与後の糞便内細菌叢について検討したが,いずれの場合にも著変はみられなかった。serotoninを投与した群では,糞便中の腸炎ビブリオは10^6〜10^8/gを示した。また,腸管内のビブリオの分布についてみたところ,腸炎ビブリオ単独投与群では,回腸部に最も多く,serotonin投与群では,回腸,盲腸,結腸の順に多く検出された。この腸炎ビブリオの分布は,大腸菌群のそれと一致していた。なお,対照実験に用いた海水由来のV.parahaemolyticus海-7株は動物に対して何ら影響せず,serotoninあるいはaminoguanidine投与によっても発症させ得なかった。
- 千葉大学の論文
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