肺結核に対する肺切除術の遠隔成績
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概要
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昭和26年から38年の間に,教室および社会保険病院松籟荘において,肺切除術を行なった肺結核患者955例の術後10年以上の遠隔成績を調査し,とくに社会復帰後の悪化について考察を加えた。その成績は(消息判明86.2%)で社会復帰中が93.0%,療養中は10例(1.2%)で,そのうち9例は社会復帰後の悪化例である。晩期死亡は35例(4.2%)であり,そのうち結核死は5例で術後合併症に起因するものが多い。社会復帰後の悪化は47例(6.3%)にみられた。悪化は術後5年以上経過してからも悪化例の44.7%にみられ,術後10年以上すると悪化の発生は少ない。また悪化例の66.0%は術側肺に発生し,葉切ではS_6区域,区切および部切では切除隣接部位の悪化が多く,対側肺の悪化例では対側病巣の再燃が多い。悪化例の44.7%に外科療法,主として再切除が行なわれた。悪化例の治療成績は78.8%が再び社会復帰しており,とくに外科療法が行なわれたものでは90.5%と良好である。悪化に影響する因子としては,術前空洞の存在,排菌の陽性,術側遺残病巣ならびに対側病巣の存在,術後合併症の併発が考えられ,胸成術追加例よりの悪化の頻度は少ない。つぎに肺結核に対して肺切除術を施行した38例に,術側残存肺の圧縮率を測定した。圧縮率は術後の再膨脹と関係し,0.03l/cm H_2O以上では再膨脹は良好であり,0.02l/cm H_2O以下では再膨脹は不良で胸成術を追加することが多い,また圧縮率は肺切除術の切除量および残存肺胸膜の癒着ならびに肥厚に影響される。
- 千葉大学の論文
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