Staphylococcus aureusのエンテロトキシン産生能に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
St. aureusの産生するエンテロトキシンに関し,食中毒事例より得られた分離菌株の,エンテロトキシン型別を行ない,さらに,エンテロトキシン産生能の変異に関して,実験的検討を試みた。その結果,食中毒事例からの分離菌株のエンテロトキシン型別としては,単型,複合型の両群が見られ,A型,B型,AB型およびABD型が多く認められた。また,同一事例中に,エンテロトキシン産生能の異なる菌株の存在することが知られた。そこで,UV照射ならびに,NTG処理により,St. aureusに突然変異を誘起させ,そのエンテロトキシン産生能を,定量的に調べた。すなわち,エンテロトキシンA,B,CおよびD産生株のUV照射株,あるいはNTG処理株をそれぞれ,60,80,60および200株分離し,エンテロトキシン産生量を測定した結果,分離菌株の多くは,その低下を示し,エンテロトキシン産生能の変異の生じる可能性が,明らかとなった。また,エンテロトキシン産生能を完全に消失したことが,血清学的に認められた株の性状を調べた結果,ゼラチン液化能も陰性となり,形態学的にも,細胞の縮少を起こした。
- 千葉大学の論文