牛乳アレルギーの発生機序に関する基礎的研究 : 種痘後脳炎との関連において
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概要
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種痘後脳炎の発生機序については,少なからず異論もあるが,アレルギー説が有力のようである。痘苗のつくられる過程から見て,痘苗・ウシ血清・牛乳の間に共通抗原性が考えられる。種痘後脳炎の発生機序を,これらの共通抗原に基づく牛乳アレルギーの立場から検討した。1.牛乳・痘苗・ウシ血清の間に,ゲル内沈降反応,免疫電気泳動および皮膚アナフイラキシー反応によって,共通抗原性を確認した。2.牛乳によってモルモットに産生される抗牛乳抗体および抗痘苗蛋白抗体は,上記3抗原による誘発によって著明に減少する傾向を認めた。3.牛乳感作または無処置動物の頸動脈内に痘苗稀釈液を接種しても,多くの臨床例と同様に,脳からvaccinia virusを分離できなかった。4.誘発による組織学的特徴は,牛乳感作動物の脳における脱髄性病変であり,これは無処置物動では観察されなかった。以上より,種痘後脳炎には,牛乳アレルギーの関与が考慮されなければならない例があるものと考えられ,その予防には牛乳感作の排除ないし接種前の減感作,および免疫有効成分のみからなる痘苗の供給が必要と考えられる。
- 千葉大学の論文
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