肝外閉塞性黄疸における肝線維化過程の病理形態学的研究 : 線維立体構築像を中心として
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概要
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慢性肝外閉塞性黄疸における線維化の過程ならびに肝構築の改変過程を検討する場合,従来古典的小葉が基本単位として扱われてきた。今回,別の角度より慢性肝外閉塞性黄疸の肝線維化過程を検討するため同剖検症例28例の肝より厚さ1mmの肝組織片を作製し,水酸化カリウムで肝実質のみを溶解させた後,線維染色を施し肝線維立体構築を実体顕微鏡で観察した。まず正常肝線維立体構築および色素ゼラチン注入による末梢肝血管構築を観察し,細葉即ち古典的小葉が肝静脈末梢4枝に沿って桑実状に連続した系を新たに肝小葉(拡大小葉)と規定した。ついで各症例の線維化過程ひいては新たに設定した小葉の改築過程を末梢肝静脈枝を基軸として立体構築的に検討した。慢性肝外閉塞性黄疸においては,肝線維化は小葉辺縁帯に限局したGlisson鞘の拡張,伸展としてはじまり,線維化が進むと線維束を形成しGlisson鞘は互いに橋形成で連絡するようになる。線維化がさらに進行すると線維束の拡大,ループ形成,線維密度の増大,線維束の小葉内進入さらには隔壁状の線維膜形成が見られるようになり,ついには真の肝硬変に近似した像を呈するに至る。この線維化の機転に関しては胆汁うっ滞,炎症の他に循環障害などの複雑な因子がからんだ肝実質の脱落,さらには残存肝実質の結節性増殖が関与していると考えられる。この線維立体構築観察法はさらに肝硬変等の解析にも有用であると考える。
- 千葉大学の論文
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