肝疾患におけるアンモニア代謝動態 : 経直腸^<13>N-アンモニア負荷による検討
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概要
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肝疾患,特に肝硬変症において,肝内外短絡路の存在および肝でのアンモニア処理能の低下は,腸管より吸収されたアンモニアが肝で処理されることなく,直接大循環に流入することにより生じる肝性脳症の発現に重要な関係をもっている。したがってアンモニア負荷試験は,そのような病態を把握する上で臨床的に有用である。そこで肝硬変症患者を中心に,放医研サイクロトロンより産生される^<13>N-アンモニアを経直腸的に投与し,腸管より吸収された^<13>N-アンモニアの動態を観察した。^<13>N-アンモニアは,正常例では注腸後すみやかに吸収され,門脈を経て肝に集積した。一方,肝硬変症などの短絡路が著明な例では,かなりの部分の^<13>N-アンモニアが直接大循環に流入し,心および肺・脳などへの集積が認められた。そこで注腸後15分に心・肝領域での^<13>N-放射活性の比(^<13>N-H/L)および30分での脳領域での^<13>N-放射活性(脳-30)を求めた。これらは,肝硬変症で高値を示し,食道静脈瘤,脾腫などの門脈圧亢進所見との相関を認めた。さらに注腸後5分および15分での血中における^<13>N-標識代謝物(^<13>N-metabolites)を測定した。肝硬変症では,^<13>N-metabolitesは低値をとりしかも出現も遅延し,アンモニア処理の過程が少なからず障害されていることを認めた。投与後15分および5分での^<13>N-metabolitesの比(^<13>N-M_<15>/M_5)を求めたところ,臨床的に門脈圧亢進所見ばかりでなくICG_<R15>などとの相関を認めた。すなわち^<13>N-M_<15>/M_5は,短絡路の発達を反映するだけでなく,有効肝血流量および肝を中心としたアンモニア代謝異常をとらえていることがわかった。
- 千葉大学の論文
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