細胞膜脂質による抗真菌剤の不活性化の研究
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概要
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細胞膜障害作用を一次作用点とするcopiamycin,azalomycin F,clotrimazole miconazoleの細胞膜上の標的物質を探索して作用発現のメカニズムを明らかにする事を目的とした。copiamycinは,広い抗真菌作用と共にある種の細菌にも抗菌力を示した。copiamycinは感受性菌であるSarcina lutea, Candida stellatoideaの菌体成分メタノール抽出液により不活性化された。これら不活性化成分は,一般脂質分析法による分画で酸性グリセロリン脂質分画にあることが確かめられた。このリン脂質は標品との比較によりcardiolipin, phosphatidyl glycerol, phosphatidyl inositolと同様な定性反応を示し,これら3種のリン脂質とも主要な脂肪酸残基は4種の脂肪酸の混合物であり,80%以上は分岐したC_<15>の脂肪酸であった。抗真菌性抗生物質azalomycin Fは,これら酸性リン脂質によりcopiamycinと同様な不活性化作用を受けた。両薬剤は,合成グリセロリン脂質により不活性された。その強さは,ポリオールを有するリン脂質,不飽和脂肪酸残基をもつリン脂質,飽和脂肪酸残基をもつリン脂質の順であった。clotrimazoleは,不飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸残基を有するポリグリセロールリン脂質により不活性化された。miconazoleは,不飽和脂肪酸と,広く不飽和脂肪酸残基をもつリン脂質によって不活性化された。