四国地域における水稲作柄の地域性について
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概要
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1)四国地域における水稲の作柄現象を把握するため,昭和30年〜38年の統計資料から,収量・3.3m^2当り穂数・1穂当り玄米重を用いて,その高低,年次変動,推移および年次変動の類似性を生産力地帯ごとに検討し,作柄現象よりみた地域類似区分を行なった。2)高収地帯は香川・愛媛両県の瀬戸内沿岸平地郡部が主体で,中央山岳地帯とこれに接する農山村が低収地帯であり,ほかの地帯は収量中位である。収量構成は概して愛媛県が穂重型,高知県は穂数型,香川県は中間型,徳島県は混在型であり,1穂当り玄米重の重い地帯はいずれも高収地帯である。3)収量の年次変動が大きい地帯は低収地帯の大部分と中収地帯の一部で,おおむね中央山岳地帯以南の太平洋側が不安定であり,これの北部および西部である香川,愛媛両県の大部分は変動が小さく安定している。4)収量推移は概して愛媛・高知両県が上昇型,徳島・香川両県は停滞型である。収量の上昇率は穂数の上昇率と相関が高く,1穂当り玄米重の上昇率との間には関係が認められなかった。また,収量の上昇率は比較的低地帯で高かった。5)収量における年次変動の類似性を地帯相互間の相関係数(r=0.60以上)でみると8地域に区分せられ,そのうち5地域は面積的に大きく,ほかの3地域は小さい。6)以上の作柄現象を総合して,作柄類似区分を試みると,四国地域は10地域に区分することができる。
- 日本作物学会の論文