ニューソルゴーの灌漑および栽培管理法に関する研究
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概要
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ニューソルゴーについて1963年,1964年の2ヵ年にわたり,潅漑・施肥量・栽植様式(1963年)・栽植密度(1964年)・刈取り間隔および刈取りの高さが,その生育・収量に及ぼす影響を検討した。1.潅漑は生体重増加速度を速めて増収をもたらす。また刈取り間隔との間に交互作用が認められ,潅漑の効果は短間隔刈りによって顕著に増大する。刈取り間隔の短縮はその再生障害を軽減することによって潅漑の効果を助長している。2.増肥は草丈を高くして増収をもたらすが,他の処理との間に交互作用は認められない。増肥は1番刈りの収量を著しく高めるが,刈取り後の再生長を抑制し,その後の増収効果を低くしている。3.狭畦様式および密植は単位面積あたりの茎数を多くし,単位面積あたり生体重増加速度を速めて増収をもたらす。また,いずれも刈取り間隔との間に交互作用が認められ,狭畦様式および密植の効果は短間隔刈りで著しく増大する。狭畦または密植はそれ自体の単位面積あたり生体重増加速度増進効果のため再生障害を多くする傾向があるが,刈取り間隔の短縮はこれを著しく軽減し,狭畦または密植の効果を顕著に助長している。4.刈取り間隔の短縮は再生長の抑制を緩和することによって増収をもたらす。また栽植様式,栽植密度および潅漑との間に交互作用が認められた。刈取り間隔短縮の効果は狭畦または密植および潅漑など単位面積あたり生体重増加速度を速め,再生障害を起こしやすくするような増収手段を用いる場合に顕著に増大する。5.高刈りは刈り残し部分が多いため低刈り(標準刈り)に比べやや減収する。ニューソルゴーでは,刈り残し部分の多少は次の再生にあまり影響しないので,とくに高刈りにする必要は認められない。以上の結果から,密植の効果が最も大きく,潅漑・増肥・短間隔刈りの効果がこれに次ぎ,高刈りの効果は認められなかったこと,また栽植様式または栽植密度と刈取り間隔および漑潅と刈取り間隔の間に顕著な交互作用の認められることが明らかになった。すなわち,潅漑または密植あるいは狭畦様式のような単位面積あたり生体重増加速度を速める手段を用いる場合,再生障害を軽減し,それらの効果を充分発揮させるために,刈取り間隔の短縮などの手段を併用することが極めて重要であることがわかった。この研究について貴重な助言と,本稿についての懇篤な校閲をいただいた長野県農業試験場長浦野啓司博士に深く感謝の意を表する。
- 日本草地学会の論文
- 1967-08-28
著者
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